【授業】
先生方の服装が特に規定されていない場合であっても、ジャージの上下にサンダル履きという姿で教壇に立つのはいかがなものでしょう。上下揃いのスーツでなくとも、せめて上着を着用するのが教壇に上る者としての心構えであり、同時に授業を受ける生徒に対するマナーではないでしょうか。私事で恐縮ですが、私も現在、大学・専門学校の講師として半期あるいは一年間を通してのレギュラー授業を受け持っていまして、教壇に立つ時は必ず上着とネクタイを着用します。盛夏季にクールビズに従ってネクタイを省くことはありますが、それでも上着は着用し、どんなに汗をかいても教壇では脱ぎません。
なぜならば、シャツは本来下着として位置づけられるものであり、人前で上着を脱ぐのは下着姿を晒すことを意味するからです。とはいえ、これは私個人の流儀であり、それを先生方に押し付けるつもりは毛頭ありません。シャツ姿でもけっこうだと思います。ですが、そのシャツはTシャツやスポーツシャツの類でなく、何かあったときにはネクタイを締められるような衿つきのシャツであることが望ましいと思います。
信頼感と授業効果を高めるコーディネイト
さて、ネクタイですが、使い方によって授業効果を高めるツールになります。例えば、私は「ここ一番」の授業には赤系のネクタイを締めて臨みます。赤は「前進色」あるいは「進出色」と言い、注視率を高める効果があるため、生徒の視線を自然に集めることができるのです。また、赤は「パワーカラー」とも呼ばれて身につける人を力強く見せる効果がありますから、先生方に対する生徒の信頼感を高める効果も期待できます。このとき、カラーバランスはインパクトが強い<コントラスト>が適しているでしょう。例えば、紺のスーツ、白のシャツ、そして赤のネクタイという組み合わせです。プレーン/ファンシーについては、<2プレーン・1ファンシー>あるいは<1プレーン・2ファンシー>が適しているでしょう。紺地に白ストライプのスーツ、白無地シャツ、そして赤系のネクタイというのが私の定番コーディネートです。余談ですが、私は雨降りの日も赤系のネクタイを選びます。雨雲に隠れてしまった太陽の代わりに胸元に太陽を象徴する色のネクタイを、というのがその意図ですが、ちょっとキザでしょうか…?
【生徒指導】
堅実で安定感のあるコーディネイト
スタンスは基本的に【授業】と同じです。「まず隗より始めよ」、指導する先生方の服装がきちんとしていなくては、説得力を失いかねません。ですがこのとき、赤系の色を身につけるのは避けましょう。赤は「興奮色」として作用する一面もあるのです。指導する側・される側双方が冷静さを失ってしまっては困りますから、カラーバランスはナチュラルな<グラデーション>で、沈静作用がある青や青緑系の色でまとめることをお勧めします。濃紺の上着にブルー無地のシャツ、ネクタイは濃紺地の小紋柄という堅実で安定感のあるコーディネートであれば、指導効果も期待できるのではないでしょうか。