MOTTAINAIはこうして始まった!もったいないとワンガリ・マータイさん
- No.:
- 第4回 服育ラボ定期セミナー
- 日時:
- 2008年1月26日(土)
- メイン:
- MOTTAINAIはこうして始まった!もったいないとワンガリ・マータイさん
- メイン講師:
- 毎日新聞社 MOTTAINAIキャンペーン事業局長 真田和義
- サブ:
- ふろしきを今にいかす ~ふろしきの歴史から活用術まで~
- サブ講師:
- 服育研究会 有吉直美
MOTTAINAIはこうして始まった!もったいないとワンガリ・マータイさん講師:毎日新聞社 MOTTAINAIキャンペーン事業局長 真田和義
米大統領選にもかかわるMOTTAINAI
毎日新聞MOTTAINAIキャンペーン事務局長として活躍する真田氏がまず見せてくださったのは、マータイさんの写真でも地球の写真でもありませんでした。アメリカ大統領民主党候補の一人であるバラク・オバマ氏でした。
「もったいないとワンガリ・マータイさん」というタイトルにも関わらずなぜオバマ議員なのか?不思議に思うところですが、実はとても関係があるのです。
オバマ氏が自身のルーツ探しでケニアを訪れた際、MOTTAINAIキャンペーンスタッフはマータイさんの娘ワンジラさんらとともにオバマ氏に会い、なんと日本のMOTTAINAIふろしきまでプレゼントしたのだそうです。
日本の「もったいない」は、時の人であるオバマ氏まで知ることばになってるのです。
MOTTAINAIにいたる3つの転機
さて、そんな世界に広がるMOTTAINAIキャンペーンを率いる真田さんには、現在にいたるまで重大な3つの転機がありました。
一つ目は、1976年のミグ25ソ連軍用機函館空港強行着陸事件です。
この時記者としては二年目の駆け出しだった真田さんは、必死に頑張ったにも事件の写真も撮れないという大失敗を犯してしまったのだそうです。しかしその3日後に、この失敗を挽回できるかもしれない千載一遇のチャンが巡ってきたのですが、記者としての責任と良心の天秤で悩んだ末、そのチャンスをいかすことができなかったのだそうです。
このことをずっと悔やみ続けた真田さんの心に強く残ったのは「タイミングは逃してはいけない」ということでした。
「タイミング」というキーワードがあったからこそ、その後訪れた旧石器ねつ造事件スクープやノーベル平和賞を受賞したマータイさんの招聘へとつなげることができたのです。
ワンガリ・マータイさん来日!
2004年、真田さんは毎日新聞の営業戦略本部次長として東京へやってきました。ここでワンガリ・マータイさんとのつながりが生まれたのです。
環境と女性、そしてアフリカ問題というキーワードを持つノーベル平和賞受賞者であるワンガリ・マータイさん日本招聘のため真田さんのチームは奔走しました。
たくさんの人々に支えられついにやってきたマータイさん。そしてそのマータイさんが日本で出会った素晴らしいことばと絶賛したのが「もったいない」でした。
「もったいない」には、環境の3R/Reduce・Reuse・Recycleはもちろん、ものに感謝し大切にする尊敬の気持ちRespectも含んでおり、マータイさんの活動を表すことのできることばとして彼女の心を掴みました。
もちろんマータイさんもすぐには「もったいない」の深い意味まで感じることはできなかったようですが、「もったいない」の意味について通訳に質問しながら理解し、そして素晴らしいことばだと気づいてくれたのです。
その後、マータイさんは日本国内だけでなく、国際の場でもMOTTAINAIということばを使われるようになります。なんと国連の女性の地位向上委員会の席上では「MOTTAINAI」を三回も唱和したりと、世界へMOTTAINAIを発信する大きな役割を果たしてくれることになったのです。
今や国際語となりつつある「MOTTAINAI」は、アメリカのラジオで特集で紹介されたり、マーシャル諸島ではMOTTAINAIの歌が作られ子どもたちへその精神が紹介されています。マータイさんの故郷ケニアでは、グリーンベルト運動の中にMOTTAINAIチームが作られるなど、世界中で環境を考える素晴らしい言葉として広がっているのです。
プロジェクト成功の3つのキーワード
そんな真田さんが大切にされている3つのキーワードがあります。 それは「ロマン」「ガマン」そして「ソロバン」です。 何かを成し遂げるためにはまずは高い志「ロマン」が必要。それを達成するためには勉強したり人の話を聞くなど様々な「ガマン」が必要。そしてそれを継続するための「ソロバン」(大きな志があっても財政基盤がしっかりしていないと続かない)が大切だと説明されました。
マータイさんは「この地球は子どもたちからの借り物だ。大人は責任持って次の世代へ地球を伝えていかなければならない」とよく言われるそうです。
もったいないの活動も理念だけでは続きません。経済成長と環境とのバランスはとても難しい問題ですが、ここを乗り越えて私たちは次のステップへ進まなければなりません。
真田さん自身も、次の「MOTTAINAI」のステップのため新たな一歩を踏み出そうとされています。
参加者のご感想
- プロジェクトを立ち上げるのは「タイミング」、タイミングをはかるのは世界の潮流、風を読める感性が必要である。しかし、私自身は自ら何かを企画するというよりは、しなければならないことをつきつけられる毎日である。自分で考えた仕事をすることができるようになりたい。(小学校校長)
- 舞台裏を聞けて楽しかったです。ちょっとしたタイミング、きっかけでできあがるんだなぁーと感心しました。出来上がったものから今度はさらに発展させていく、これからが大変な事なのだと思います。(中学高等学校養護教諭)
- 現場のナマナマしいお話をお伺いできて、身体をはって記事ができているんだなあと感動しました。一つの失敗(?)の経験を次の機会に「タイミング」を脳裏に刻み付けて、大スクープされ、又マータイさんにつながっていったのが興味深く、ロマン・ガマン・ソロバンのおち(?)も納得でした。(元小学校校長)
講師のご紹介
- 真田 和義
- 毎日新聞MOTTAINAIキャンペーン事務局長
1975年、毎日新聞社入社。函館支局で「ソ連軍用機ミグ25の函館空港強行着陸事件」、北海道支社報道部で「有珠山噴火」「大韓航空機撃墜事件」「北海道南西沖地震」「有珠山再噴火」、報道部長で「旧石器発掘ねつ造スクープ報道」。このスクープの取材チーム代表として、2001年新聞協会賞、菊池寛賞、早稲田ジャーナリズム大賞をトリプル受賞。2005年2月、営業戦略本部次長としてブランド戦略強化のため「ノーベル平和賞、マータイさん日本招聘」、翌3月 MOTTAINAIキャンペーン事務局を設置しキャンペーンを開始。現在、富士山再生キャンペーン事務局長も務める。56歳。北海道釧路市出身。中央大学卒。
MOTTAINAIホームページ http://www.mottainai.info/
ふろしきを今にいかす ~ふろしきの歴史から活用術まで~講師:服育研究会 有吉直美
ふろしきのいろいろ
今回のサブセミナーでは、今改めて注目を集めているふろしきを取上げました。
まずは簡単に風呂敷の種類についての説明です。ふろしきはその大きさによって呼び方が変わりますが、日常扱いやすいサイズとしては二幅(約70cm)や二四幅(約90cm)があります。またその形は正方形ではなく、少しだけ幅よりも丈の方が長い長方形です。これは伸びやすい対角線を少しでも長くすることが包みやすくするための工夫といわれています。
今回は先生方全員に二幅の服育ふろしきを使って、様々なものの包み方に挑戦してもらいました。
日常生活にいかすふろしき包み
まずはふろしき包みの基本中の基本「真結び」の確認です。ものを運んでいる途中でもほどけにくい真結びができないことには、ふろしきを日常で活用することはできませんので、ここがもっとも大切なポイントになってきます。
真結びを確認した後、実際に様々なものを包んでいきました。
基本の「平包み」や「お使い包み」はもちろん、バッグのようにしてふろしきを使う方法、そしてワインボトルやPETボトルなどちょっと変わった形のものを包む方法まで、広くご紹介していきました。
中でも先生方から「へ~」という声が聞こえてきたのは、ふろしきを使ったショッピングバッグです。レジかごに敷くだけで簡単にショッピングバッグになるというのは、意外にも今まで思いつかなかった利用法だったようです。
セミナーを終えた先生からは、日常生活での活用はもちろん、学校での国際交流にも使えそうなど様々なふろしき活用アイデアが聞こえてきました。
参加者のご感想
- 卒業記念にふろしきというのも悪くない。スーパーでの活用など、日常でいかせるグッズだと再認識した。「もったいない」という言葉以上に、昔の日本人のものを大切にする生活感覚を感じさせてくれるアイテムである。(高等学校 国語教諭)
- ショッピングスタイルでの使い方に驚きました。家に眠っているふろしきを、再び使ってみようと思いました。(中学校 技術・家庭科教諭)