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服育活動レポート

服育セミナー in 兵庫/LGBTQの存在を認識した上での学校教育

服育セミナー in 兵庫/LGBTQの存在を認識した上での学校教育

服育セミナー in 兵庫/LGBTQの存在を認識した上での学校教育

No.:
服育セミナー in 兵庫/LGBTQの存在を認識した上での学校教育
日時:
2022年12月3日(土)13:30-16:00
場所:
兵庫県学校厚生会館 3階大会議室
対象:
学校・教育関係者
主催:
服育net研究所
後援:
兵庫県教育委員会、神戸市教育委員会
協力:
兵庫県学校服協働組合
PDF:
セミナーチラシ

セミナー:LGBTQの存在を認識した上での学校教育

1.学校におけるLGBTQの取り組みについて

口の5~8%は存在すると推定されているLGBTをはじめとするセクシュルマイノリティに対して教員に理解や学校の対応が求められることについて、2015年以降3年連続、文部科学省から文書で周知が図られ、積極的な取り組みが求められています。

学校で主に検討されるLGBTQ対応は、制服やトイレといったトランスジェンダーの児童生徒に関わる内容が多いようですが、性自認/性別違和だけではLGBTQ全体について取り組みを進めているとは言えません。

まずはLGBTQについて教職員間の正しい理解と意思統一、合意形成をなるべく早くに進めるために教職員研修を実施、その上で年間計画に位置付け、授業の実施を進めていく必要があります。

この他、日常の中でLGBTQに関する先生からのポジティブな発言や話題提供、図書の配架(図書室と保健室の両方に同じラインナップを)、学級通信や保護者会で取り上げるなど様々な取り組みがあります。

LGBTQの児童生徒から悩みを打ち明けられてから動くのではなく、その前の平時から学校の取り組みを始めることが求められます。

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2.学生服における性別表現の多様性

制服について違和感を持っているのはLGBTQの中でも圧倒的にトランスジェンダーの児童生徒です。2015年の文部科学省通知「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」の中の「学校生活の各場面における支援の事例」では、服装について「自認する性別の服装・衣服や、体操着の着用を認める」と書かれています。

自認する制服を認めるということは、ジェンダーレス(ジェンダーをなくす)にすることではなく、自分が望むジェンダーの制服の着用を認めることを意味するのではないでしょうか。ジェンダーをなくすというよりは、本人の望むジェンダーの装いを保障することが重要な取り組みになります。つまり身体性が女子を対象にしたスラックスを導入すればそれでいい、ということではありません。例えば身体性が男子である生徒がリボンやスカートの着用希望を表明できるような環境づくり、女子のスラックスと同様にそもそも「誰もが自由に選択できる」制度設計や取り組みを進めていく必要があります。

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3.LGBTQの子ども達に関する調査より

日高教授が実施したLGBTQ対象の全国調査(有効回答数10,769人)では、周囲との違いに気付いた平均年齢はLGB(レズビアン、ゲイ、バイセクシュル)では13歳~16歳の中高生くらいの年齢ですが、T(トランスジェンダー)では平均年齢10歳~11歳と、4~5年生くらいに自認する場合が多いようです。気付いた時に「自分はおかしくない」と思えるよう、早めにLGBTQ/性的指向/性自認/性別表現に関する適切な情報を伝えていくことが大切です。

また当該集団における「いじめ被害・不登校・自傷行為の生涯経験率」は、概して高率であることが繰り返し調査で示されています。つまり、性的指向や性自認の違いに起因する排除やバッシングが学校の中で起こっていることが容易に推測できます。いじめ被害経験者中、「先生はいじめの解決に役に立ってくれたか」と認識している割合は、若い世代ほど「役に立った」と認識していましたが、それでも5人に1人程度(10代)と限定的でした。いじめ対策やその解決のための学校や先生の取組がさらに求められます。LGBTQに関する取り組みを進めることは、子どもの命を守ることに直結するということを、知っていただきたいです。

4.本人のペースを大切にした対応を

先生にとっては「誰がLGBTQの児童生徒なのか分からない」ことが圧倒的ですが、当事者である彼らにとっては「誰が本当の理解者か分からない」のです。

性的指向や性自認/性別違和を知らなければ支援できないというのではなく、多様性を尊重する環境を整備すること、それ自体が支援になっていくのです。取組の推進や前提条件として「カミングアウトを促す」学校現場もありますが、秘匿しておきたい児童生徒の存在もあることを十分に視野に入れたうえで、結果としてそれを強要するような事態は避けなければなりません。カミングアウトするのかしないのか、するのであればいつ誰にどのような方法でしたいのか、それは本人が決めることであり本人のペースを尊重した対応が大切です。

講師のご紹介

日高 庸晴
日高 庸晴
宝塚大学 看護学部 教授

京都大学大学院医学研究科で博士号(社会健康医学)取得。 カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部研究員、公益財団法人エイズ予防財団リサーチレジデントなどを経て現職。

最高裁判所/司法研修所による裁判官対象の研修や法務省の国家公務員人権研修、人事院のハラスメント研修等の講師を務める。法務省の人権啓発ビデオの監修、文部科学省が 2016 年 4 月に発表した性的指向と性自認に関する教職員向け資料の作成協力、自治体による啓発教材の監修を多く務める。

NHK「時論公論」「ハートネットTV」などメディア出演多数。

DVD上映:教員向け映像教材

14:55-15:35

LGBTsの子どもの命を守る学校の取組

①危機管理としての授業の必要性

(文部科学省選定)

LGBTsの子どもの命を守る学校の取組_ジャケ

参加者のご感想

学校現場でなかなか踏み出せずにいましたが、背中を押していただいたようでした。職員の中で仲間を増やして取り組んでいきたいと思いました。
制服における性別表現の多様性のスライド、お話は、これまでの講演等ではあまりお聞きしたことのない内容であったので、とても興味深いものでした。
危機管理としてというところが今回の大きな気付きでした。今回の映像教材を見てより気付くことができました。
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