こころを育む衣服 服育

  • 教材ダウンロード
  • 各種応募申込み
  • お問合せ資料請求
  • 検索
  • 教材ダウンロード
  • 各種応募申込み
  • お問合せ資料請求

服育活動レポート

学生たちが挑んだSDGsプロダクト開発

第27回服育ラボ オンライン定期セミナー

第27回服育ラボ オンライン定期セミナー

No.:
第27回服育ラボオンライン定期セミナー
日時:
2022年8月1日(月)14:00-16:00
セミナー:
学生たちが挑んだSDGsプロダクト開発 ~環境や福祉について実践的に学ぶ意義~
講師:
関西大学 商学部 教授 横山恵子
PDF:

セミナー/学生たちが挑んだSDGsプロダクト開発 ~環境や福祉について実践的に学ぶ意義~講師:関西大学 商学部 教授 横山恵子

1.「魔女プロジェクト」が目指したもの

私たちのゼミで取り組む「魔女プロジェクト」は、事業を通して社会課題を解決することを目指しています。特に廃棄衣料・廃棄野菜の問題、そして継続支援B型事務所(福祉事業所)の工賃問題に取り組むために、「衣の魔女」と「食の魔女」二つのチームを立ち上げ、企業や福祉事業所と連携し進めていきました。

「衣の魔女」は(株)チクマと連携し制服になれなかった未活用生地をアップサイクルしていくことにしました。仕入れた生地は福祉事業所で、工賃を2倍、3倍に上げられるように縫製してクラウドファンディングで販売していきました。

衣と食二つのクラウドファンディングを同時に行ったのですが、見事両方とも成功することでき、社会課題解決の第一歩とすることができました。

seminar27report_2

2.社会性と事業性を両立する上での困難と解決策

魔女プロジェクトでは社会性と事業性を両立することを目指し取り組んできましたが、様々な困難がありました。衣の魔女についても各段階で様々な困難を乗り越えてきました。

まずは「私たちのニーズと福祉事業所のできることのギャップ」です。欲しい商品を必要数作ってもらうために何か所もの福祉事業所をあたらなければなりませんでした。

そして「価格設定の難しさ(高付加価値かつ低コスト)」です。福祉事業所の工賃をあげるためアンケートや面談などを経て決定しました。

さらには「広報の難しさ」です。たくさんのストーリーが込められた商品(商品魅力・社会問題)を限られた空間や時間の中で効果的に伝えるのは難しいものでした。

seminar27report_1

3.ソーシャルビジネスの要所

今回の取り組みを通して、ソーシャルビジネスを成功させるために2つの要所がありました。

まずは社会性と事業性のバランスを創意工夫して調整しながら、「多様な企業との協働」で新たな価値を生むことができた点です。つまり社会課題解決の方法として、学生が中心となって「多様な企業との協働」をつくりだすモデルを示すことができました。

もう一つは、商品のストーリーを効果的に伝える工夫をすることです。社会性と事業性を両立させる上で、「共感を呼ぶ」伝え方をすることの重要性を痛感しました。

seminar27report_3

4.学生達の成長

魔女プロジェクトではソーシャルビジネスについて企画フェーズ(社会課題の認知、社会的事業の企画)だけでなく、社会実装フェーズ(社会的事業の実行、市場社会からの支持、社会的価値の広がり)にまで踏み込み取り組みました。果たしてこれは学生達の学びに有効だったのでしょうか?

取り組んだ学生達の感想を聞くと「記憶するだけよりも、もっと深い知識を得られた」「自分達が能動的に動く経験ができた」「人とのつながりを感じることができた」「実際に行動して自分事として考えることができた」という声があがってきました。

企画と社会実装では「意思決定した」量と内容が全く違ってきます。紙の上だけでなく、いろいろな実際の活動があり、その一つ一つに意思決定が必要でした。例えばクラウドファンディングひとつとっても、企画書に「クラウドファンディングします」と書くだけでなく、実際に行うためにリターン品の設定、試作品の撮影、サイトの立ち上げなどやらなくてならないことがたくさんあり、その度に意思決定をしていく必要がありました。

企画フェーズであれば伴わなかった責任感も、社会実装フェーズになるとすべての段階で伴います。

学生の感想に「自分事にできた」という声がありましたが、つまりそれだけ複雑性の高まった難しい意思決定をしたビビッドな記憶が「自分事」にすることができたのだと思います。

学生にとったアンケートからも、社会実装フェーズまでいった時の方が「熱中し集中することができた」「仲間とも団結できた」と答えています。

つまり社会実装フェーズまで取り組むことで、学生達の学びの質は高まったのです。

もちろん実装をやりっぱなしにするのでなく、内省することで、効果的な経験学習にしていく必要があります。

今年の3年生は販促のため「おもしろい、笑いを込めた形で訴求していったら記憶に残るのではないか」という仮説をたて漫才を作りました。

seminar27report_4

参加者のご感想

SDGsプロダクト開発実践の推進方法など興味深く学べた。環境だけでなく福祉事業とつながり,学生たちの魔法は素晴らしい取り組みだと思った。実践的に学ぶ意義についても実感できた。ありがとうございました。

講師のご紹介

横山 恵子
横山 恵子
関西大学 商学部 教授

一般社団法人そばくりラボ代表理事兼事務局長。北海道大学大学院経済学研究科修了。博士(経営学)。企業の社会性,企業とNPOの協働といった調査現場において既存の枠を打破して新価値創造に果敢に取り組む人々と触れあう中,アントレプレナーシップという生き様に魅せられるようになり,大学で教える科目も「ベンチャー論」に辿り着く。ソーシャル・アントレプレナーシップやエシカルと協働という考え方を学生に広めるべく,産学連携の教育プログラムを多数展開してきている。編著書に『企業の社会戦略とNPO』(2003年),『エシカル・アントレプレナーシップ』(2018年),『日本のコレクティブ・インパクト』(2022年)等がある。また組織学会賞「高宮賞」論文部門(2002年6月),日本NPO学会研究奨励賞(2004年3月),日本ベンチャー学会第7回レフェリー賞(2014年11月),環境経営学会実践貢献賞(2018年5月)などの受賞歴がある。

サブセミナー/新たな服育学びツール紹介「バトンバッグ・ローカルアクション」講師:服育net研究所 有吉直美

環境と福祉の視点を持つ服育学びツール「バトンバッグ」の新展開「ローカルアクション」についてご紹介しました。

詳しくはバトンバッグページご覧ください。