"装い"が伝えるメッセージ ~英国紳士に学ぶ服装マナー~
- No.:
- 第2回東京定期セミナー
- 日時:
- 2013年11月15日(金)
- メイン:
- "装い"が伝えるメッセージ ~英国紳士に学ぶ服装マナー~
- メイン講師:
- ブリティッシュ・ライフスタイル研究所 長谷部 義孝
- サブ:
- 制服の中に見る英国スタイル
- サブ講師:
- 服育研究会 有吉 直美
- トークセッション:
- 制服指導に活かす英国の視点
- スピーカー:
- 長谷部義孝 × 有吉直美
- PDF:
- セミナー詳細
- PDF:
- セミナーレポート
- 会場:
- 新宿NSビル 30F
- 参加費:
- 無料
- 対象者:
- 学校・教育関係者 その他の方はお問い合わせください。
- 主催:
- 東京服育研究会
"装い"が伝えるメッセージ ~英国紳士に学ぶ服装マナー~講師:ブリティッシュ・ライフスタイル研究所 長谷部 義孝
ファッションとは何か
世の中には「変わる服」と「変わらない服」の2種類の服が存在しています。
変わる服とは「流行に左右される服」であり、変わらない服とは「時代を超えて人々から愛され続けている服」を指します。言い換えれば「かっこいい服」と「正しい服」と言うことができるかもしれません。
ファッションの語源「Facio」は、日々成すこと、日々作ることを意味するラテン語です。つまりファッションとは単なる服装だけのことではなく、生活全般の「心の仕草」を指すものであり、貴方が何者であるか(知性、品性、教養)を外に向かって表現するものなのです。
欧米の社会で洋服について正しい知識を持ち装う男性は、知識人であり知的上流階級に属する男性であるとされます。つまりスーツ
を賢く着るということは単なるおしゃれではなく、自らの人となりを表現するために考察され、思考され、哲学されたものなのです。
装うことが様々な意味を持つ西欧文化の中で、服について様々な格言が残されてきました。
「人は外見で判断され、知性で解雇される」 シェークスピア
「外見で人を判断しないのは愚か者だけである」 オスカーワイル
ド
「人は制服の通りの人間になる」 ナポレオン
英国紳士の服装マナー
紳士の服装には着方やアイテムに数々の細かいドレッシングマナーがあります。スーツやネクタイ等の柄や生地、サイズ感、全体のバ
ランス等は、紳士としての威厳を保ち礼儀を欠かないためのマナーです。
例えばシャツは本来下着だったのでウェストコートやネクタイで極力隠す、ジャケットのボタンは一番下をのぞいて着席時以外常に
留めておく事を心がける等々です
女性には男性ほどの「ねばならない」というルール
パブリックスクールの制服
英国のパブリックスクールが行っている人格教育では、幼少の頃から毎日決められた服を決められた着方で着る訓練を行います。そ
れを強制することがエリート教育の第一歩と考えられ、そのルールを守らない人は一目瞭然なのです。
寄宿舎生活の中で生徒たちは親を頼らずに、自らルールを守って「制服」を自分で着ることになります。
制服を着る事がエリート意識の始まりであり、その意識の象徴であるノーブレス・オブリージュ(高貴なる者の義務)を育むことになる
のです。
学校制服とはルールを守る事だけが目的ではなく、守ることにより「より良き学校を作る事」であり、今後は「より良き学校に適した服装」を考える事が未来の教育に課せられている事なのではないでしょうか。
講師のご紹介
- 長谷部 義孝
- ブリティッシュ・ライフスタイル研究所
1952 年東京生まれ。日本大学獣医学科在学
中から服飾の勉強を本格的に始める。
卒業後はアパレルメーカーの企画に所属し、ポールスミスの日本導入時にも携わる。福助において王室御用達製品を扱う企画に関わった後、ブリティッシュライフスタイル研究所を立ち上げ、イギリスの服飾、雑貨等広く生活文化の輸入紹介を行っている。学習院大学講師「服飾史とマナー」として服飾文化を中心としたマナー教育にも力を注ぐ。
服の中に見る英国スタイル講師:服育研究会 有吉 直美
日本に大きな影響を与えた英国
明治維新の時代、日本は多くのことを外国(西洋)から学び取り入れてきました。特にお雇い外国人の数が一番多かった英国からは、様々な分野で非常に大きな影響を受けました。
衣服においては1872 年の「礼服ニハ洋服ヲ採用ス」とする太政官布告から徐々に洋装化が進み、中でも学生服を含む制服は洋装化の先陣を切って着物から洋服へと変わっていきました。ここにも英国の影響を見ることができます。
制服の中に残る英国テイスト
階級社会の英国ではそれを着用することがひとつのステイタスだった「スーツ」や、諸説ある語源がすべて英国からきている「ブレザー」、軍隊の制服に由来する「詰襟」と「セーラー服」、そしてスコットランドの氏族のクラン(家紋のようなもの)だったタータンなど、多くの学校で採用されている制服の中に英国由来のものがたくさんあります。
遠い外国の話ではなく、毎日自分が着用している制服の中に世界の歴史がつまっていることを知ることは、制服を見つめ直すきっかけになるかもしれません。
トークセッション 制服指導に活かす英国の視点講師:長谷部義孝 × 有吉直美
日々の服装指導の中で先生方が疑問に思われていること悩んでおられることに、英国の視点交えてお答えしていきました。
ネクタイのない学校からの「ネクタイ着用の意義」についての質問に対しては、ネクタイの歴史的意味や存在意義、また国際交流時の印象などについて様々な視点からより深くお話を伺うことができました。