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服育活動レポート

LGBTsの存在を認識した上での学校教育 vol.1

LGBTsの存在を認識した上での学校教育 vol.1

LGBTsの存在を認識した上での学校教育 vol.1

No.:
第24回服育ラボオンライン定期セミナー
日時:
2021年8月3日(火)14:00-16:00
セミナー:
LGBTsの存在を認識した上での学校教育 vol.1
講師:
宝塚大学 看護学部 教授 日高庸晴
PDF:

セミナー/LGBTsの存在を認識した上での学校教育 vol.1講師:宝塚大学 看護学部 教授 日高庸晴

1.教育現場におけるLGBTsへの理解、対応について

人口の5~8%は存在すると推定されているLGBTをはじめとするセクシャルマイノリティ(LGBTs:エル・ジー・ビー・ティーズ)に対して教員に理解が求められることについて、2015年以降3年連続、文部科学省から周知が図られ、積極的な取り組みが求められています。

2.LGBTsへの取り組みで大切な視点

学校で検討されているのは、制服やトイレといったトランスジェンダーの子に関わる内容が多いようです。

しかし制服やトイレについて検討するだけでは、LGBTs全体について取り組みを進めているとは言えません。教育の現場で教える際は、トランスジェンダーだけでなくレズビアン、ゲイ、バイセクシャルなどの性的指向と性自認についてバランスよく教えていくことが大切です。その上で学校生活に困難を感じているトランスジェンダーの子ども達のために何ができるか考えていくことが大切なのです。

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3.トランスジェンダーの子ども達が抱える問題

「与えられた制服に対する嫌悪」を聞いたアンケート調査では、「嫌悪を感じる」と答えたのはトランスジェンダーに集中しており、若年層ほどその割合は高く10代では8割強となっています。

また、「体育や健康診断の時の着替えに対する嫌悪」についても、トランスジェンダー、中でも若年齢ほどその割合は高くなっています。ただ他(LGB)についても「嫌だった」と答えている人が比較的多くおり、着替えの時間が子供同士のからかいの場になっている可能性もあるかもしれません。

学校以外でも「医療機関に行くことを我慢したことがある」という問いについては、診察の際自分の性自認等について説明する必要を感じている全ての年代のトランスジェンダーが「我慢したことがある」と高い確率で答えています。

4.日本の現状

日本にはLGBTsに関連する人権擁護の法律がありません。しかしオリンピック憲章にも2014年「いかなる種類の差別も受けることなく」という文脈の中に「性的指向」ということばが入るなど、世界ではますます多様性が重要視されるようになってきています。

学校で対応する際大切なのは、本人の希望をきちんと聞くことです。カミングアウトしたいと思っていない生徒にカミングアウトを強要するようなことがあってはなりません。

一番よくないことは個別対応を「検討中」として放置してしまうことです。何もしてもらえないと子どもは「学校は対応してくれない」と感じてしまうので、できないのであればその理由をきちんと説明する必要があります。心や体が大きく変化する思春期の子ども達への対応はとても重要なのです。

5.2019年調査「REACH Online 2019 for Sexual Minorities」より

「性別や性自認について周囲の人とは違うと初めて気づいた年齢」ついて、LGBTsの中でもトランスジェンダーは小学校高学年頃(10歳~11歳)、その他の人については中学生から高校1年生頃(13歳~16歳)に自分と周囲との違いに気付いたと答えています。

「性別や性自認について周囲の人と違うと初めて気づいた時、誰かに相談したいと思ったことはありますか?」という質問に対して、全体で4人に1人が、10代に限定すれば3人に1人が相談にのってもらいたかったということが明らかになっています。とりわけトランスジェンダーに多い傾向が見られました。

また相談方法としては若い世代では「LINE」と答えた人が最も多く、彼らが相談しやすい方法での相談方法を整える必要があります。もちろんこのような外部の相談窓口だけでなく、子ども達にとって身近な存在である先生に相談できることが大切です。先生への信頼があるからこそ話せることもあるのです。(この当日の講演要約は服育net研究所によります)

DVD上映/LGBTsの子どもの命を守る学校の取り組み ①危機管理としての授業の必要性

日高先生が監修された教員向け映像教材の上映も行いました。

→教材紹介ページ

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日高先生資料(PDFでご覧いただけます)

子どもの“人生を変える”先生の言葉があります2021

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講師のご紹介

日高 庸晴
日高 庸晴
宝塚大学 看護学部 教授

京都大学大学院医学研究科で博士号(社会健康医学)取得。 カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部研究員、公益財団法人エイズ予防財団リサーチレジデントなどを経て現職。

最高裁判所/司法研修所による裁判官対象の研修や法務省の国家公務員人権研修、人事院のハラスメント研修等の講師を務める。法務省の人権啓発ビデオの監修、文部科学省が 2016 年 4 月に発表した性的指向と性自認に関する教職員向け資料の作成協力、自治体による啓発教材の監修を多く務める。

NHK「時論公論」「ハートネットTV」などメディア出演多数。

参加者のご感想

まったく理解できていなかったことが今回のセミナーで分かりました。丁寧にお話しくださり有難うございました。
セミナーのおかげ、学びの機会を得ることができ、日ごろ見逃している問題に気付く感覚が刺激されます。有難うございました。
制服のことをきっかけに本日のセミナーに参加しましたが、トイレの問題、着替え、男女別の授業、教員の日ごろの言動など、改善することがたくさんあるということに気付きました。
LGBTsについては自己学習だけでは補えないアンケート調査の結果等を知ることができてとても勉強になりました。