プレタポルテとは”高級既製服”
このオートクチュールに対してプレタポルテ(pret-a-porter)という言葉があります。 (pret-a-porter)=「着るために用意されている」の意味であり、一般的には(高級)既製服を言っているようですが、本来は前年度にオートクチュールとして発表されたものを、その次の年に裁断や縫製をしやすくして既製服的に作り直し、より一般向きに変更させて作った高級既製服であり、オートクチュールの派生として存在するものです。
パリ・コレクションは1月と7月に開かれると(先ほど=前回に)述べましたが、それはオートクチュールのコレクションで、レディースのプレタポルテのパリ・コレクションは3月と10月に開かれています。一般的にパリコレとかDCブランドと言っているのはこのプレタポルテをさしているようです。
さて、このプレタポルテのコレクションですがいつ頃から開かれるようになったかを調べてみますと、1960年代中頃にオートクチュールのデザイナーがこのプレタポルテを発表した事に始まるようです。そして、1970年代初めにはケンゾー(高田健三)、イッセイ(三宅一生)、クロード・モンタナ等のプレタポルテ専門のデザイナーが登場するようになります。そう言う意味からすれば、ファッションの大衆化はミシンが広まった1900年前後からだと述べましたが、本当に広まったのは欧米でさえもこの時代からかもしれません。その後、彼らを追って日本人デザイナーの中からは、75年の鳥居ユキ、77年芦田淳、78年コシノ・ジュンコそして81年には山本耀司、川久保玲らが続々と参加するようになるのです。それ以降も数多くの日本人デザイナーがパリコレクションに参加するようになるのですが、世界発信としての参加よりもパリ・コレクションで発表したという実績をステータスに、日本発信(ビジネス)だけに甘んじているデザイナーが多いと嘆いているのは私だけでしょうか?