こころを育む衣服 服育

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服育コラム

VOL.1 衣服の変遷

衣服の初期の目的は身を守るため

衣服の初期の目的は身を守るため原始の時代に思いをめぐらしてみます。
その時代の私たちの祖先(ホモサピエンス)は、きっと毛のない猿であり、生物界ではきっと少数派であったに違いありません。そして、あちらにすこし、こちらにぱらりと人々は散在し、地球が丸いか四角いか等といった疑問を抱きもせず、又、自分達と同類の人間という生物が自分達以外のどこに住んでいるのかといったことも考えもしなかったことでしょう。

原始の初期の頃は間違いなく裸の生活であったでしょう。(造形」の神が動物をおつくりになるのに、他の動物にはお与えになった自然の毛皮という衣装を人間だけに、付け忘れたのかもしれません。)人が生きていく上で、過酷な天候や自然環境を乗り越えていく中で、火を、そして道具を使ったのと同じように、時には風や水や木や土といった自然界の危険から裸の体を保護することを進化の過程で学んでいったのだと思います。ろくな牙もなく爪もないひ弱な人間が、石器のやりや棍棒で動物を追い回したのも、生きるための食べ物を得るのと同時に、身を守るための毛皮も狙ったのだと思います。(衣服の初期の目的は身を守るため=防護機能)

ある教えの中で人間の祖先とされるアダムとイブが、彼らの局部をイチジクの葉っぱで覆っている絵があります。恥じらいのために覆っているのだと思いますが、私はその当時には恥じらいの気持ちは薄かったと思います。(現実にはギリシャ時代の市民は裸に近い生活をしていたらしい。恥じらいの思いが衣服に込められたのは随分と後の世だと思います。)

いずれにしても、毛皮を身にまとうという人類にとっての一大発見をして以来、衣服というものは四大文明が発祥した紀元前四千年の頃には既に社会的な意味を持っていたようです。その事は考古学的な出土品の中からも検証できている事はいうまでもありません。(有機物で出来ている衣服類は自然界に分解し易いため、衣服そのものが数多く残っているわけではありませんが)

身分・階級の象徴、機能性、恥じらいの思いの衣服

採集狩猟の時代を経て農耕牧畜へ移行していくにつれ人々の生活が豊かになり、人口も増加して集落から都市へそして国へと社会構成の単位が大きくなっていきました。そしてその中で、より良い生活を行う上で、国を治めるという概念、そして農耕牧畜が中心の時代ではありますが、ある仕事をより得意とする人がその仕事を行うという役割分担が出来ました。それが、よい悪い両面の意味を含め、役割の表現として階級・身分といった制度になっていったのだと考えます。

そして、衣服について考えればそのイメージ的(象徴)表現として、国王には国王の装い、貴族には貴族の装い、シャーマンにはシャーマンの装い(祈祷師?)又、より機能的な意味合いで鍛冶屋には鍛冶屋の、農民には農民の衣服が自然発生的に生まれたのだと思います。別の方から見ますと、生活にゆとりのある人たちは、恋もしたでしょう。異性により良く思われるために、より美しく見せるために、お化粧をし装身具を身に付け、衣服を着飾ったに違いありません。このあたりから宗教的理由も相まって先ほどの恥じらいの概念が出てきたのではないかと思います。

今日の若者を見るにつけ、この部分にかなりのウェートをおいているのがちょっと気にかかるのは私だけでしょうか?